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医工連携 私の視点

横浜医工連携推進アドバイザー
新田 慶子

Vol.49
R2.9.25
コロナ禍でのマスク需要

コロナ禍で品薄が続いてきたマスクであるが、今では、ほぼ解消されたように見受けられる。一般の人が感染症防止で使用するサージカルマスクは、十分、行き渡っているようだ。

しかし、医療従事者が検査時などで使用する高性能マスクはどうだろうか。「N95マスクが足りない」という医師の声は、頻繁にメディアから聞こえてきた。4月の時点ではすでに、医療従事者用の高性能マスク不足は深刻な状態で、「これは国難だ」と言われるほどの状況であった。厚生労働省は、本来使い捨てとされているN95マスクを再利用するなど例外的取り扱いについて連絡を発出した程である。

国内で医療機関にマスクを供給している業者は大手4社ということであるが、供給が間に合っていない。そのため、医療現場では、他の業者からマスクを調達する必要に迫られていたが、ここですぐに、他業者から購入というわけにはいかない。まず、病院が新規業者と取引きを行うには、様々な手続きが必要なのである。しかし、現場は一刻も早く高性能マスクが必要な状況で、とても手続きを待っていられる状況ではない。それならば、と、医療従事者たちは、病院を通さずに医療者向けの高性能マスクを独自に輸入して入手しようと試みている。ところが、海外との取引は、前金が必要となり個人に負担がかかる。しかも、海外からの輸入となると、こちらが指定した仕様通りのマスクが届くかもわからないという有様であった。この時点では、マスク市場はそれほど大きいわけではないため、国産のものはなかなか進まない状況であった。

日本の技術力があれば高性能マスクの製造ができないはずはない。マスクの仕様は、N95レベル(ウイルスを含んだ飛沫(5μm以上)を防ぐことができるレベル)であり、日本の工業力を活用して、医療従事者向けの高精度のマスクを、多くの町工場が製造すれば、輸入品よりも品質が確実に分かるため、小ロットでも各医療従事者が購入できる。医療従事者が、このような情報を拡散していた。

さて、現在、依然として医療用高性能マスクは、全世界的に不足が続いている。このような状況下、国立循環器センター、(株)クロスエフェクト、ニプロ(株)、ダイキン工業(株)の4者が、共同で純国産の医療用高性能マスク開発に着手した。純国産の医療用高性能マスクの販売開始は、医療従事者のストレスが軽減されることのみならず、海外への輸出需要にも応えられるようになる。純国産医療用高性能マスクの開発は、大いに期待されるところである。

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