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工研の強みは最長8メートルの1本物上下金型の製作が可能なこと。修理や再生研磨・改造加工また、シャーリング刃物は最長6メートルまで再生研磨が可能。

海外展開 製造業
今後を見据えて中国企業との直接取引を模索 IDEC横浜上海事務所経由でコンタクト、そして発注へ

高い技術力であらゆる金型のオーダーにワンストップで応え続ける
有限会社工研

色々な製品を作り続けたい 複数の拠点が海外にあれば……

スタンダードな金型からオーダーメイドによる特殊曲げ用金型まで、幅広い要望に応える工研。なかでも、最長8メートルという長尺金型の製作を得意としている。設計図を起こすところから製作・仕上げ・納品まで、トータルで対応する。
「板金用金型では、鉄道、トラック、コンビニエンスストアの棚や冷蔵庫、オフィス家具、そして住宅のキッチンや窓・ドア・床・屋根等あらゆる商品を作り上げ、私たちの生活に貢献していると思っています」こう語るのは代表取締役の加藤高智氏。加藤氏が気になるのは今後の展開だ。受注生産が基本だが、これからも多品種少量生産が続くと見ている。人手不足や、コスト増を製品価格にストレートに転嫁できないのも悩ましい。そこで考えたのが、中国や台湾の企業に発注すること。以前、台湾の企業と取引をしたことがあ
り、良い仕上がりだった。海外に拠点があれば、受注の幅が広がると感じたが、この時は商社を介したため、利益は少なかった。何とか自社で直接取引ができないかと考えていた。また加藤氏は、中国への留学経験があり中国人の大陸気質も知っていて、いつか中国語を使い、一緒に仕事をしたいという思いがあった。しかし、ビジネスでの中国語のやり取りには一抹の不安を感じていた。

中国語を駆使 メールや動画のやり取り重ねる

2022年7月、加藤氏はまずIDEC横浜に相談。さらにIDEC上海事務所を介して中国企業にコンタクトを取った。上海事務所を経由することにより、中国企業側の担当者にスムーズにたどり着けたことが良かったと言う。 「先方が実際にどのような企業か。期待するレベルの仕上がりになるのかどうか。不安もあったが、とにかく一緒にやってみないと始まらないと思い、踏み出しました」。工研には加藤氏のほかにもう1名中国語ができる担当者がいる。2名体制で翻訳ツールなども使いながら、中国側と細かくメールをやり取りし、話し合いを積み重ねていった。 「動画も利用して確認し合い、一歩一歩進めていきました。途中、IDEC横浜の中国ビジネス専門家の助言も受けました。幸い、今回委託した中国企業は一生懸命取り組んでくれました。良いものを作りたい我々の気持ちは伝わるのだと思いました」。 こうして、2022年12月、初めての製品発注を終え、2023年2月にでき上った金型が船で横浜港に到着、納品された。「これからも中国企業とは取引をしていきたい。トラブル時の対応や中国語のスキルアップなど、勉強を続けながら進めていきます。長く取引きしたいので、ウィンウィンの関係を目指します」と加藤社長は語る。

(支援事例集2023掲載)

成功のポイント

  • 「中国とビジネスを進めたい」という強い思いと行動力。
  • 社長をはじめ、社内に中国語対応可能な人材がおり、自力で中国企業と直接やりとりを進めることができた。
  • 中国企業との交渉事や取引条件については、IDEC 横浜の専門家からアドバイスを受けることで、疑問点を解消することができた。

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