コラム

バックナンバー

医工連携 私の視点

横浜医工連携プロジェクト アドバイザー
森尾康二

Vol.04
H28.10.25
成果を出せる医工連携のために何が必要か

前回のコラムで、医工連携活動においてはアイデア・技術・商品が主役でなければいけない、と申し上げました。我々が推進しているのは、”皆様の企業の中にある技術・アイデアを臨床・研究の立場の方々の持つ課題の解決に利用し、そのシナジーの中から思いも及ばない開発コンセプトが生まれ、それが商品となって世に出てゆくこと”です。

こうしたプロセスを一言で簡単に表現するのは不可能で、そこに定まった方程式はありません。何故なら「医療」という無限の広がりを持つ世界とその多様性の中で、有用性のある一つのコンセプトを纏めて行くのは容易な事ではないからです。

私は横浜医工連携プロジェクトに、8年間にわたって関与をさせて頂いています。沢山の企業とその技術、臨床医、研究者にお会いすることが出来て多くの事を学ばせて頂きました。

この出会いの中でも多くは最初の出会いのままで終わってしまっています。一方でいくつかの出会いはその後の発展に繋がっていきました。この違いを参入企業、臨床医、医療機器メーカーそれぞれの果たすべき役割を踏まえて考えると開発スタートの参考になるかと思います。

1 参入企業
技術・アイデアを持っている企業(個人の場合も)が主要な役割を果たせることが多いです。
医療産業は成長産業と位置づけられ、企業規模を問わずすべての企業はここに熱い視線を向けています。企業規模については、小企業や個人であっても十分にやってゆける可能性があります。私の経験からすれば参入や開発を成功に向かわせるためには次の条件が必要だと感じています。

  1. 開発の責任を取る立場の方(小企業においては社長、中規模以上であれば部門長)が不退転の決意を持っていること。
    医療産業は決して「下請け仕事」ではない事を肝に銘じて不退転の決意で臨んで欲しい。
  2. 他に比類のない「光る技術」を持っていること。
    既に他の産業でこの光る技術を生かして枢要な立場を占めている場合、この光る技術が医療産業においてどのように利用できるのかを一緒に考えさせて頂きたい。
  3. 経験に照らしてみるとベンチャー的色彩の濃い企業においては自ずと上記の条件を満たしている企業が多く、商品化に到達する可能性が高いと感じています。

2 臨床医や研究者
そのニーズや課題が商品としてめでたく世に出た時にもたらされる臨床的価値がいかほどのものかを、開発をスタートする時点で想定できるイマジネーションを備えていて欲しい。
小さく云えば日常の診察や手術の中で感じている不都合を修正する改善・改良ニーズであり、大きく云えば今までにない画期的な手技に繋がるニーズでもあるが、いずれの場合においても実現できた時に期待できる価値を開発の当初から想定したうえで、開発を始めるか否かを判断して欲しい。

3 医療機器メーカー、コーディネーター
上記1、2のようにニーズとシーズが想定通りに揃ったとしても、医療技術の開発がスムーズに進められるわけではありません。長い開発のプロセスの中で、ニーズ側とシーズ側のキャッチボールが頻繁に行われ、開発のベクトルもその都度修正されながらゴールに向かわなければなりません。
開発が終わった後に商品として世に出てゆくためには、全責任を負う立場の医療機器メーカー(製造販売業者)の存在は欠かせません。その意味で開発当初から医療機器メーカーが開発コンソーシアムのメンバーに入って、ベクトル修正の役割を果たしてくれるのが最も望ましい。
仮に当初からの参入が難しい場合は、これに代わるコーディネーターが一時的にその役割を担って、後段でメーカーに引き継ぐという方法も考えられます。

開発のプロセスを方程式化することは出来るものではありませんが、本コラムのいくつかの特徴を参考にして、自社に当てはめて頂ければ目途を立てる事が出来るのではと感じています。

以上

前の記事へ

Vol.3