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医工連携 私の視点

横浜医工連携推進アドバイザー
山越 淳

Vol.41
R1.12.25
医薬品医療機器等法の改正

すでにご存じの方もいらっしゃると思いますが、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案」が11月27日の参院本会議で可決され、12月4日に公布されています。

今回の改正は、

  1. 1. 医薬品、医療機器等が安全かつ迅速に提供され、適正に使用される体制を構築するため、医療上特に必要性が高い医薬品及び医療機器について条件付きで承認申請資料の一部省略を認める仕組みの創設
  2. 2. 虚偽・誇大広告による医薬品、医療機器等の販売に係る課徴金制度の創設
  3. 3. 医薬品等行政評価・監視委員会の設置、薬剤師による継続的服薬指導の実施の義務化
  4. 4. 承認等を受けない医薬品、医療機器等の輸入に係る確認制度の創設

等の措置を講ずることが主な内容のようです。

今回の改正で、医療機器を扱う企業に関連するトピックとしては、(i)添付文書の電子的な方法による提供の原則化、(ii)包装等へのバーコード等の表示の義務付け、(iii)許可等業者に対する法令遵守体制の整備、(iv)虚偽・誇大広告による医薬品等の販売に対する課徴金制度の創設といったものがあげられると思います。

具体的な改正内容や、今後変更となる施策等については、今後発出される通知等を見てみないとわかりませんが、以下、厚生科学審議会等で議論された内容等から、簡単にその内容を記載しようと思います。

(i)添付文書の電子的な方法による提供の原則化

この改正は、①添付文書は頻繁に改訂される一方、卸売販売業者や医療機関等の在庫品に同梱されている添付文書は改訂前のままで、迅速かつ最新の情報提供に必ずしも役立っていない。②同一の医療機器等が医療機関等に納品されるたびに、同じ添付文書が一施設に多数存在する状況は、紙資源の浪費にもつながっている

といった従来からの指摘に基づくものです。現行法では、クラスⅣの医療機器は、添付文書の届出およびPMDAのホームページへの掲載が求められていますが(薬食発0806第3号 平成26年8月6日付)、改正によって全ての医療機器の添付文書のホームページ等への掲載が求められることが予想されます。また、添付文書を入手するために必要な符号(URLを示すQRコードなど)をその容器等に記載することも求められる様です。なお、ホームページに掲載することによって、紙の添付文書の同梱を省略できるかどうかは、不明です。(国会に提出された法律案要綱によれば、“製造販売業者は、購入者等に対し、注意事項等情報の提供を行うために必要な体制を整備しなければならないものとすること。”とされており、ホームページに掲載する以外の提供手段が求められ、その結果として従来の様に紙の添付文書を同梱することになる可能性もあり得るのではないかと考えられます。

(ii)包装等へのバーコード等の表示の義務付け

現在でも、医政経発第0328001号 平成20年3月28日付 厚生労働省医政局経済課長通知にて、医療機器の包装等にバーコードを付すことが求められていますが、これが法律で定められる様です。

(iii)許可等業者に対する法令遵守体制の整備

この改正は、

  1. ① 今般発生している薬機法違反の事例に、製造販売業者等の経営陣が、現場における法令遵守上の問題点を把握していないことや、問題点に対して許可等業者としての適切な対応を行っていないことに起因すると思われるものが散見される。
  2. ② 総括製造販売責任者等の技術責任者と経営陣が負うべき責務や相互の関係が、薬機法上明確でないことにより、技術責任者による意見申述が適切に行われない状況や、経営陣による技術責任者任せといった実態を招くおそれがあり、法令遵守のための改善サイクルが機能しにくくなっているのではないか。
  3. ③ 製造販売業者の業務や、製造業者の業務は、薬機法を遵守して行われなければならないが、このような法令遵守や、そのための社内体制の整備等に責任を有する者が、許可等業者にお いて不明確となっているのではないか。

といった現在の課題に基づくもので、製造販売業者に、業務監督体制の整備や経営陣と現場責任者の責任の明確化などが求められる様です。

例えば、

  1. (1) 業許可の申請を行う際に薬事に関する業務に責任を有する役員の記載
  2. (2) 製造販売業者の業務の遂行が法令に適合することを確保するための体制、製造販売業者の薬事に関する業務に責任を有する役員及び従業者の業務の監督に係る体制、その他の製造販売業者の業務の適正を確保するために必要なものとして厚生労働省令で定める体制の整備
  3. (3) 総括製造販売責任者に所定の基準に適合した医療機器の製造管理及び品質管理並びに製造販売後安全管理を行わせるために必要な権限を付与すること、及びその業務の監督
  4. (4) 従業者に対して法令遵守のための指針を示すこと

などが求められる様です。
具体的には、それらの社内手順の構築、及びその手順に従った記録が求められることになりそうです。

(iv)虚偽・誇大広告による医薬品等の販売に対する課徴金制度の創設

医療機器等に関する虚偽・誇大広告があった場合には、原則としてその医療機器等の対価合計額の4.5%の金額の課徴金の納付が命じられる様です。これは、過去の製薬大手企業による論文データ改ざん事件等を受けてのものと思われます。

前述の様に、改正の詳細は今後発出される通知等によって明らかとなり、また、企業側の対応が必要なものについては、一定の移行期間が設けられると思われますが、各社とも引き続き最新の関連通知を注視していただければと思います。

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