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医工連携 私の視点

横浜医工連携プロジェクト アドバイザー
森尾康二

Vol.14
H29.9.25
イノベーションジャパンでの出会い

大学見本市と呼ばれるイノベーションジャパン(東京ビッグサイト、8月31日-9月1日)を訪問してきました。成長戦略という追い風を受けて例年以上の大盛況となっていました。大学や研究所の見本市という事で、学術的な展示が多く見られましたが、出口(商品化)を意識した展示も見受けられました。この中で2つの案件についてご紹介させて頂きます。

①(株)Lily MedTech:『超音波を用いた乳がん検査装置』

現在一般的に行われている乳がん検査方法はマンモグラフィーと呼ばれるX線撮影法だが乳房を挟み込んで撮影するために多くの人が痛みを感じています。更に母乳を作る乳腺の割合が高い高濃度乳房は日本人に多いが、X線撮影において乳房全体が白っぽく写り、癌組織との区別が付けづらいと云われています。この問題を解決するために超音波による検査に注目が集まっています。東京大学発ベンチャーである同社は超音波を用いながらも、従来と違った検査法を開発して商品化に成功しました。乳房の周囲を360°リング状に撮影し、これを乳房の先端から根元にかけて何層にもスライスして乳房全体の画像データを入手します。これを再構成処理することによって乳房全体の高解像度画像を入手できます。単純X線撮影がCT撮影に移行した様に超音波においても画像データを3次元に再構成する技術が今後発達してくるものと思われます。今回の開発も含めて臨床との連携が開発の鍵を握っている事には変わりはありません。

②ライトタッチテクノロジー(株):『非観血の血糖値測定装置』

国民病のひとつとされている糖尿病の患者にとって、一滴と云えども血液を採取する事は大きな苦痛を伴っています。血液を採取せずに(=非観血に)、指にレーザーを照射して、その反射又は透過によって血液中の糖分を計測するという試みは、これまでのところ悉く失敗に終わっています。量子科学技術研究開発機構(QST)にてこの技術開発に取り組んでこられた方がベンチャーとして立ち上げて、今後の商品化に向けて開発を進めています。従来法と異なり、本装置においては中赤外レーザー(波長6-9μm)を用いて、皮膚の比較的浅い部分からの反射波を捉えるというものです。進入深さは1㎜以下という事で果たして毛細血管の中の血液を捉えているのか、或いは間質液だけを捉えているのかという疑問が残ります。プロトタイプ機によって測定した血糖値と、同じ資料を使った実測血糖値とを比較して有意な相関が取れているとの成果も出ていて力づけられますが、臨床的な評価を得られるまでに解決すべき問題はまだまだあると思われます。時代が「非観血測定」に向かっている中での一つの重要なトライアルになると考えています。

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