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医工連携 私の視点

横浜医工連携プロジェクト アドバイザー
木下綾子

Vol.32
H31.3.26
アメリカにおける医療機器ベンチャー

暖かい日が続き、春の訪れを感じます。もうすぐ桜が咲く頃でしょうか。新たに日本の成長産業の一つとして挙げられている医療機器産業ですが、まだ思ったほどの成果が上げられていないのが実態ではないでしょうか。

世界の医療機器市場は、2017年には4,344億ドルを突破し、右肩上がりで拡大しています。世界の医療機器メーカーの売上高ランキングを見ると、上位30社のうち18社がアメリカ企業で、日本企業は3社のみです。アメリカ企業18社で、実に世界シェアの約40%を占めているのです。この競争力の源泉はどこから来るのでしょうか。

世界の医療機器メーカーのランキング
順位企業名売上高(10億$)
1Medtronic plc29.7
2Johnson & Johnson26.6
3GE Healthcare19.1
4Royal Philips16.3
5Siemens Healthineers16.3
6Abbott Laboratories16.2
7Cardinal Health13.5
8Stryker12.4
9Becton Dickinson12.1
10Baxter10.6
11Boston Scientific9.0
12Essilor9.0
13Danaher8.6
14B. Braun8.1
15Zimmer Biomet7.8
16Fresenius6.3
17Alcon6.0
183M Health Care5.8
19Olympus5.2
20Smith & Nephew4.8
21Terumo4.6
22Dentsply Sirona4.0
23Edwards Lifesciences3.4
24Hologic3.1
25Intuitive Surgical3.1
26Hoya2.8
27Sonova Holding2.8
28Getinge2.7
29Hill-Rom2.7
30Varian Medical Systems2.7

出典: Rodman Media Medical Product Outsourcing “TOP 30 Medical Device Manufacturers 2017”(ブルー:アメリカ、オレンジ:日本)

まず、アメリカではアドバイザーとして医療機器開発の過程のすべてに関わる医師が多く、自ら起業する医師も多くいます。大学による医療機器イノベーション人材の育成もあり、臨床ニーズを起点にした開発が徹底されています。そして、専門家が多くいるので、必要な技術、投資家、大手企業とのマッチングもスムーズに行われていると言います。日本ではこの点が最も不足しているのではないでしょうか。

また、アメリカではオープンイノベーションによる共同開発が盛んで、開発までのリードタイムも短くなっています。治験から事業化までの資金調達や大手企業とのマッチングも盛んです。一方、日本企業では内製化の意識が強く、オープンイノベーションがまだまだ浸透していません。内製化をしようとすると、開発から上市まで莫大な時間とコストがかかりますから、当然事業化の確率も低くなります。

このように、アメリカでは、大学が中心となって医療機器イノベーションに従事する人材育成をし、これらの人材が中心となってシリコンバレーの医療機器ベンチャーが開発を担い、ベンチャーキャピタルによる投資や大手企業による買収が行われ、販売までたどり着くエコシステムが出来ているのです。

最近は日本でも医療機器の開発人材を育成する取り組みが強化されてきていますし、まだ事例は少ないものの、医療機器ベンチャーが開発した革新的な製品を大手企業が買収する事例も出てきています。一歩も二歩も先を進んでいるアメリカ シリコンバレーの事例を参考に、日本の医療機器産業が革新的な医療機器を生み出し、活性化していくことを期待したいと思います。

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